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介護支援専門員研修”高齢者の医療ケア”

3月度の介護支援専門員研修は『高齢者の医療ケア』について学びました。

Ⅰ 加齢と老化

加齢とは、生まれてから死ぬまで、年を重ねていく時間の経過をいい、老化とは、加齢に伴い体の細胞や器官に退行性の変化が生じること(様々な環境の変化に対応する能力が低下すること)をいう。

老化の原因としては、遺伝、生活習慣、環境、疾病、精神・心理、体質などがあり、これらは個人差がある。

Ⅱ 高齢者の症状の特徴

①ホメオスタシス(恒常性)の低下により、全身の状態が悪化しやすい

②複数の疾患にかかっていることが多い

③疾病の回復が遅く、慢性化・重症化しやすい

④症状や進行に個人差が大きい

⑤定型的(典型的)な症状が出ないことがある

⑥脱水症状を起こしやすい

⑦薬の副作用が出やすい

⑧心理的・身体的な誘引により、精神神経症状を起こしやすい

Ⅲ 高齢者の心理的特徴

高齢者の心理には大きく分けて2つあり、1つは「経験に基づく心理」もう1つは「加齢変化に伴う心理」である。経験に基づく心理には、知恵、技術、社会的地位や経済力、名誉、家庭・社会での役割、経験をする中で作り上げられた価値観があり、加齢変化に伴う心理には、獲得したものを加齢に伴って喪失していく、身体機能、家庭・社会での役割、経済力、家族、近しい人々などがある。これらには、自信や自尊心と喪失感や不安感が混在している。

Ⅳ 器官ごとの疾患の特徴と治療やケア

①生命を維持する(循環器系)

*循環器系のはたらき

・心臓:心筋(不随意筋)で出来ており、収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出すポンプのような働きをする

・血管:血液を全身に届ける(動脈)、心臓に戻す(静脈:逆流防止弁がある)

*加齢による変化

・心臓の収縮力が弱くなり、送り出される血液量が少なくなる

・動脈の弾力性が低下し、血圧が高くなる

・静脈の弁が硬くなり、足がむくみやすくなったり、静脈瘤ができやすくなったりする

循環器系の疾患として「高血圧」「狭心症・心筋梗塞」「不整脈」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

高齢者医療1

②生命を維持する(呼吸器系)

*呼吸器系のはたらき

・空気を吸って酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する

・呼吸器系は、気道と肺で構成されている

・横隔膜と肋間筋などの呼吸筋によって、呼吸運動が行われている

*加齢による変化

・呼吸筋や肺の弾力性が低下し、換気量が減少する

・気道粘膜の抵抗力や咳反射が弱くなり、感染を起こしやすくなる

呼吸器系の疾患として「肺炎」「気管支喘息」「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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③体を調整する(脳神経系)

*脳神経系のはたらき

・体の内外の情報を処理し、生体を調整する

・中枢神経系(大脳、間脳、小脳、脳幹、脊髄)

・末梢神経系(体性神経、脳神経、自律神経)

*加齢による変化

・脳神経細胞の数が減少し、神経伝達の速度が低下する

・身体各機能の調整がとれなくなる

脳神経系の疾患として「脳血管障害」「硬膜下血腫」「パーキンソン病」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

高齢者医療3

④動く(運動器系)

*骨格系のはたらき

・筋肉とともに身体を支え運動を行う

・内臓を保護する。カルシウムを蓄える

・造血機能(血球成分を作る昨日)がある

*筋系のはたらき

・骨とともに体を支え、動かす(呼吸にも関わる)

・熱を産生する

*加齢による変化

・骨密度も低下し、骨折しやすくなる

・関節軟骨や関節液が減り、関節可動域が低下する

運動器系の疾患として「骨粗鬆症」「関節リウマチ」「脊柱管狭窄症」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑤食べる・出す(消化器系)

*消火器のはたらき

・食物を取り込んで、分解(消化)し、身体に取り込む(吸収する)

・吸収した後の「カス」を便として排出する

*加齢による変化

・唾液の分泌や舌・喉の動きが低下し、嚥下しにくくなる(誤嚥しやすくなる)

・栄養の吸収がしにくくなる

・腸蠕動や腹圧が低下し、便秘しやすくなる

・肛門括約筋の筋力低下により、便失禁を起こしやすくなる

消化器系の疾患として「胃・十二指腸潰瘍」「感染性胃腸炎」「便秘」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑥出す(泌尿器系)

*泌尿器系のはたらき

・体内で発生した老廃物を腎臓で濾過し、排出する

・腎臓は体内の水分、塩分、pH、血圧等も調整している

・尿は腎臓から尿管を経て、膀胱に溜まり、自分の意思(大脳)で排尿をコントロールしている

*加齢による変化

・膀胱容量の減少により、頻尿になりやすい

・膀胱の伸縮性や、骨盤低筋の筋力低下により、尿失禁を起こしやすい

・腎臓機能が低下するため、薬の影響を受けやすい

泌尿器系の疾患として「尿路感染症」「腎不全」「尿失禁」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑦体を調整する(内分泌代謝系)

*内分泌のはたらき

・ホルモンを分泌して体の働きを調整する

…成長ホルモン:成長を促す。骨の成長を促進する

…バソプレシン(抗利尿ホルモン):尿の量を減少させる

…甲状腺ホルモン:身体中の代謝に関与する

…副腎皮質ホルモン:糖代謝の調節、抗炎症、抗ストレス

…インスリン:血糖値を下げる

…エストロゲン:子宮内膜の増殖、骨や脂質の代謝

*代謝とは

・生体内で生じる全ての化学変化とエネルギー変換のこと

*加齢による変化

・各ホルモンの分泌減少により、機能低下が出現する

・エストロゲン(女性ホルモン)の分泌減少により骨密度が低下し、血清コレステロール値が上昇する

・身体各所での代謝が低下する

内分泌代謝系の疾患として「糖尿病」「甲状腺機能亢進・低下」「脂質異常症」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑧見る(感覚器系:目)

*ものを見るしくみ

・光刺激として、角膜、水晶体、網膜から視神経を経て、脳に伝わる

*加齢による変化

・水晶体が硬くなり、焦点を合わせにくくなる

・水晶体が濁り、見え方や色の濃淡が分かりにくくなる

・視神経の細胞数が少なくなり、奥行き間隔が低下する

・涙が作られにくくなり、目が乾きやすくなる

感覚器系の目の疾患として「白内障」「緑内障」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑨聴く(感覚器系:耳)

*音を聞くしくみ

・音は振動として、外耳、中耳、内耳に伝わり、聴神経から脳に伝わる

・内耳の前庭器官は平衡感覚を司っている

*加齢による変化

・耳の各組織が硬くなり、音が伝わりにくくなる(特に高い音が聞き取りにくくなる)

・聴神経の細胞数が少なくなり、「音」は聞こえても「ことば」として聞き取りにくくなる

※感音性難聴…補聴器は意味がない

⑩味わう(感覚器系:舌)

*味わうしくみ

・味は化学物質として唾液に溶けて、味蕾にある味細胞で感知され、顔面神経や舌咽神経を経由して脳に伝わる

・嗅覚や触覚、温度感覚も関係している

*加齢による変化

・味蕾の数が減少し、特に甘味、塩味を感じにくくなる

・嗅覚の低下により、味を感じにくくなる

・唾液の分泌が減少し、化学物質が溶け出しにくくなり、味を感じにくくなる

感覚器系の舌の疾患として「舌炎・口内炎」「味覚障害」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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⑪触れる(感覚器系:皮膚)

*皮膚感覚のしくみ

・皮膚にある受容細胞で圧力や温度等の物理的刺激を感知し、感覚神経から脳に伝わる

・触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚等がある

*加齢による変化

・皮膚や粘膜の受容体や、神経細胞が減るため、皮膚感覚が低下する

…けがややけどをしやすくなる

…暑さを感じにくいため、熱中症になりやすくなる

…寒がりになる

感覚器系の皮膚の疾患として「褥瘡」「帯状疱疹」「疥癬」を例に各疾患の特徴と治療とケアについて下表を参照してください。

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