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介護支援専門員研修”アセスメント”

今回の介護支援専門員研修のテーマは、『アセスメントについて』です。

アセスメント関係の研修として、前2回の研修「有する能力の応じたケアマネジメント」「ケアマネジメント基礎」の集大成となります。

早速本題ですが、アセスメントに関して、以下の4項目に分けて研修を行いました。

① ケアマネジメントプロセスの意義と目的

② アセスメントを行う際の留意点

③ ニーズの捉え方

④ アセスメントに必要なコミュニケーション

まずは「ケアマネジメントプロセスの意義と目的」についてですが、皆さんは“三大介護”をご存知でしょうか?

入浴・排泄・食事その他の介助になります。でも平成19年に社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律案が成立し、介護福祉士の介護を心身の状況に応じた介護に改められました。これは、一人ひとりのその「心身の状況」を見極め、その「状況に応じた介護」を、目指すべきだということではないでしょうか。

では、介護の本質とは何か?

介護とは、生活全般にわたった、とても広い意味での援助活動であり、介護という仕事を行うためには、援助の過程を科学的にとらえ、具体的な方針を立てることが必要になります。

利用者が希望する生活の実現に向けて意図的な介護を展開するためのプロセスの目的とは、ケアマネジメントを展開することにより、客観的・科学的な根拠に基づく介護実践が可能であり、専門的知識と技術に裏打ちされ、展開のプロセスを言語化し、記録するため介護実践の根拠を振り返ることも可能になるからです。

アセスメントとは、①情報の収集 ②情報の解釈・関連付け・統合化 ③課題の明確化のこれら3つ全てを行うことがアセスメントと言えます。

まず、情報収集にあたっては、アセスメントシートを活用しますが、利用者の全体像を全人的に把握するためにはICF(国際生活機能分類)に基づく視点が重要となります。

International Classification of Functioning , Disability and Health

アセスメント

ICFはもともとリハビリのためのものであり、違和感を感じるかもしれません。

ICFツールは32項目あり、アルファベットと数字の組合せで表し、約1500通りになります。

アセスメントで収集した情報は、事実の一部分です。一部分の情報をいかに生活の主体者としてのイメージにつなげていけるかですが、この一部分同士を関連付けて統合化することで、生活者としてのイメージをまとめることができます。例えば同じ食材を使用しても、調理方法や味付けで様々な料理に変化するように、介護職の収集した情報も解釈や統合化の仕方によって、まるで違う課題が現れることがあるので十分な配慮が必要です。

次に課題の明確化ですが、課題とは、利用者が望む暮らしを実現または継続するために、解決しなければならない困りごと、または介護上の問題(生活課題)になります。

課題が2つ以上ある場合は、課題の優先順位を検討しますが、その際のポイントとして、①人生の豊かさ ②生活の安定 ③生命の安全 の3段階で優先順位を考えます。

因みに、A・H・マズローの欲求説では、①自己実現、②承認、③所属、④安全、⑤生理的の5段階で考えます。

次に目標の設定ですが、留意点としては、①個別的であること ②利用者の自己実現を目指すこと ③利用者自身が取り組むことができることが挙げられます。

≪目標≫の表現の仕方

*主語は利用者であること(利用者が主体的に取り組むことを表現する)

*設定した期間において、現実的で達成可能であること(可能性の予測を示す)

*観察又は測定可能であること(量・時間・期間等を明確に記述する)

*何を目指しているか明確であること(誰もが理解できる表現にする)

*利用者が読んで不快な表現を避けること(命令的・指示的な表現はしない)

≪援助内容・方法を決定する際の留意点≫

*5W1Hを明確にする      【参考として…6W2H】

When  いつ         When     いつ

Where どこで        Where    どこで

Who   誰が         Who      誰が

What  何を         What     何を

Why   なぜ         Why      なぜ

Whom     誰に

How   どのように      How      どのように

How much いくら

常に5W1Hを明確にし、できれば6W2Hを明確にするとよりわかり易い。

≪記録のポイント≫

*実施前の利用者の状態・・・実施にあたって観察したこと

・日常生活に関わる動作

・表情や言動

*実施の過程・・・・・・・・実施した援助の内容、方法

・それに対する利用者の反応や言動

・介護職の判断と対応

*実施の結果・考察・・・・・目標に対する到達度

・何がどの程度できたか

・何がどの程度できなかったか

・課題

≪評価のポイント≫

定めた目標に対して、達成できた、達成できなかった、不明の3つに分類し、その根拠を明確にする。

できても、できなくてもデータ収集すること

目標や具体的な内容を評価した結果、利用者が抱えている課題が「このまま同じ形で介護を続けても解決につながらない」ことが明らかになった場合には、ケアプランの修正が求められます。

評価の結果、情報収集以降の作業が不十分だと判断された場合、新たに情報を収集し直す、課題を整理し直すこと等が必要になります。その上で修正された計画に基づいて援助が実施されます。

次は、「アセスメントを行う際の留意点」です。

利用者の望む生活の実現には、将来予測と介護の根拠の明確化、利用者の尊厳の保持と選択の自由の保障、多職種連携の3つがあり、根拠の明確な介護を行うことが必要です。

前出の3つは、思い付きや長年の経験があれば身に付くというものではなく、人間の尊厳と自立、社会の理解、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、コミュニケーション技術など、専門性が試されるため、知識として学習することが大切です。

3つ目は、「ニーズの捉え方」ですが、ニーズとは何でしょうか?

介護保険では生活全般の解決すべき課題をニーズとしていますが、ここでは生活ニーズとして解説します。利用者が生活を送る上で必要な要因が欠如し、その欠如した要因が相互に関連しあい、悪循環となりながら、利用者のおかれている問題状況を作り出しています。この生活ニーズを解決していくことによって、利用者がより自立的で尊厳を保ち、質の高い生活が送れることになるのです。ケアマネジメントの重要な考え方に「ニーズ中心主義」というものがあります。これは「全ての援助は、サービス提供側の都合で提供されるものではなく、利用者のニーズに即して必要な社会資源が動員される」という考え方です。潜在的意識下にあるニーズを引き出すべく、とことん「質問」をして掘り下げなくてはいけません。ニーズを引き出すための「質問力」を鍛えましょう。

また実は、ニーズとは利用者における客観的な必要性のことであり、利用者の主観的な要望のことはデマンドと言います。

最後に「アセスメントに必要なコミュニケーション」ですが、アセスメントの技術は「人と人」が接することが前提です。そのためマネジメントを進めるために必要なビジネスマナーを習得しCS(カスタマー・サティスファクション)を高める必要があります。

※CSとは、「顧客満足」すなわち、マネジメントに対する利用者や家族の満足度をいいます。業務の中で常に「利用者様の視点」に立ち、双方向のコミュニケーションを図りながらマネジメントを通して信頼を得ていくことがCSに繋がります。

≪ケアマネジャーに求められる専門性≫

① 利用者の人権を守る

② 利用者・家族のプライバシーを守る

③ 利用者の個々の人生を尊重する

④ 職場内・外の他職種と連携する

⑤ 利用者を取り巻く社会との橋渡しをする

では、コミュニケーションとは何か?

コミュニケーションとは、社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達であり、動物個体間での、身振りや音声、匂い等による情報の伝達もコミュニケーションのひとつです。

また、種類には2つあり、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションに分類されます。言語的コミュニケーションには、手紙、メモ、書籍、信号、図表等があり、非言語的コミュニケーションには、動作、身振り、表情、視線、態度等があります。

コミュニケーションを図る際に必要なことは、受容・傾聴・共感(受け止めること、心と身体を傾けて聴くこと、共に感じること)と自己覚知(自分がどのような価値観を持っているのか、自分がどのような状態にあるのかを知っておく)が必要で、自分への洞察力が欠如すると他者との対応で感情的になったり、逆に過剰に親身になってしまうことがあります。

また、コミュニケーションには、自分自身に関する情報を、本人の意思のもとに強制されることなく特定の他者に対して言語を介して伝達する「自己開示」も必要です。

≪適切な自己開示をする5つの判断基準≫

① 量・・・・どれくらいの情報量を開示したら良いのか

② 深さ・・・どのくらいの内容の深さで、個人的なものなのか

③ 時・・・・情報をいつ開示したら良いのか

④ 人・・・・いったい誰にこの情報を開示したら良いのか

⑤ 状況・・・どのような頻度で特定の情報を開示したら良いのか

その他コミュニケーションを図る際に必要なポイント

≪会話の基本ルール≫

① 語尾を上げない、伸ばさない

② 語尾をはっきりと

③ たとえ話を長くしない

④ 形容詞ではなく、数字で表現する(大きい・広い・狭い・深い等は数字を入れて具体的に)

⑤ 言葉を「が」で数珠つなぎにしない

⑥ 母音をむやみに伸ばさない

⑦ 幼稚な話し方は「ラ」行が原因

⑧ 最初は相手が答えやすい質問をする

⑨ 会話中に相手の名前を呼んでみる

⑩ 別れ際は楽しい話で締めくくる

≪相手に思いを伝えるポイント≫

① 抽象的な表現は使用せず、言葉は明確に

② 自分の意見に責任を持ち、丁寧に説明を

③ 理由や根拠を明示する努力を

④ 何を、どこまで望むのか、ゴールを明示すること

⑤ 失敗体験よりも成功体験を!

⑥ 現実を理解し、何に困っているのか把握すること

⑦ 丁寧に、謙虚に、感謝の心をもって

⑧ 相手の話にも耳を傾けて

⑨ 自分も大切に。でも相手も大切に

⑩ 親しき仲にも礼儀あり。モラルをもって

まとめ

アセスメント力を向上させる特効薬はありません。現実には悩みつつ、利用者と向き合うことでしか解決できないことや、どんなに取り組んでも解決できない場合があるかもしれません。しかし、諦めずに、希望をもって利用者に寄り添い、より良い生活の質を提供してもらいたいという熱意で取り組むことが大切です。

”講師からのメッセージ”

現状を変える「チェンジ

大変だからこそ立ち向かう「チャレンジ

難局をピンチと捉えるのではなく「チャンス」と捉え、

周りに流されない「勇気」を持ち、

明確な「目標」を掲げ、

スキルアップに向けて「努力」を惜しまない!

キラリと光るケアマネジャーを目指しましょう!!

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